こんにちは。
木津(@ayumukizu)です。巷ではムハンマドと呼ばれています。
少し前なんですが、昨年末にこんなツイートをしました。
「関係人口」という概念の危うさは、関係人口が増えると社会がどう良くなっていくのかがきちんと共通認識として広がらないまま、「関係人口=ソーシャルグッドなもの」として言葉だけが一人歩きしていること。言っときゃいいでしょ的な空気は確かにある。
— 木津 歩|居候男子 (@ayumukizu) 2018年12月27日
「関係人口=ソーシャルグッドなもの」として漠然ともてはやされているけど、「関係人口」が増えた先に何が起こるのかを考えないと、あまり意味がないなと思っています。
今日は、この話を少し。
目次
関係人口とは?
はじめに、そもそもこの「関係人口」という言葉の意味について触れておきます。
島根を拠点に活動されているローカルジャーナリストの田中輝美さん(@terumism)による書籍、『関係人口をつくるー定住でも交流でもないローカルイノベーション』から、関係人口の定義について以下に一部引用します。
関係人口とは、住んでいなくても、地域に多様に関わる人々=仲間のことです。例えば、定期的に足を運び、特産品を買ってくれる。離れていても、地域のファンであり、ともに盛り上げてくれる。きっとどの地域にもいますよね。
その地域に住む「定住人口」でもなく、短期的に訪れる「交流人口」でもない、新しい人口の考え方です。(p026)
関係人口とは、住んでいなくてもその地域に多様に関わる人々のこと。
「定住人口」と「交流人口(あるいは観光人口)」の間にある概念として、近年注目を集めている言葉です。
漠然とソーシャルグッドと見なされる「関係人口」
「関係人口」の概念自体は、国全体の人口が減少の一途をたどる昨今においては非常に現実的な考え方であると思います。
都心部と地域とで人口をシェアするということは、実質的な総人口が増えるということでもあるから。
ただ最近なんとなく違和感を感じているのは、冒頭のツイートに書いた通り、「関係人口=ソーシャルグッドなもの」として言葉だけが一人歩きしている感が否めないこと。
定期的にその地に足を運んでいる人は、足を運ぶ理由がなくなったら「関係人口」ではなくなるにも関わらず、「とりあえず関係人口と言っておこう」みたいな空気を感じないでもない。
だから、覚悟を持って地域に根を張りその地域の活性化を担っている人からすると、「関係人口」という言葉はある種の胡散臭さを感じる言葉になってしまっているなと感じます。
「関係人口」は現象を言語化するためのツールでしかない
とはいえ、「関係人口」という概念はこれからの時代ますます注目されていく概念であると思います。
だからこそ、この言葉の周辺にいる僕らは、この言葉とどう付き合っていくかをきちんと考えなくてはいけない。
大前提として抑えておきたいのは、「関係人口」自体に価値はないということです。
平日は都心で働きながら、月に数回地域でお店を出す人。活動の拠点を都心におきながら、リモートでその地域への移住者を増やす取り組みを行う人。
そんな「定住人口」とも「交流人口」とも言えないけど確かに地域と接点を持っている人たちを表現するために「関係人口」という言葉があるわけであって、「関係人口」という言葉自体には価値はないはずです。
だから「関係人口の創出」自体が目的になるのはおかしい。
それを、僕らは改めて認識しておかないといけないなと思います。
場所を選ばない暮らしが市民権を得る
少し話は変わるけど。
散々偉そうに書いた僕も、「関係人口」を増やす方向に活動を進めています。
僕が今実践している「移動生活」の先には、「関係人口」があると思っている。
ただそれは、あくまでも結果としての「関係人口」です。
リモートワークや複業の普及によって、場所を選ばない働き方はこれからますます加速します。
場所を選ばない働き方が拡がるのであれば、その先にはきっと場所を選ばない暮らし方がある。
場所を選ばない暮らし方が本格的に市民権を得る日はそう遠くないと、僕は本気で思っています。
その時彼らが頻繁に足を運ぶ地域との関係性を表現する言葉は、やはり「関係人口」になるのだろうなと。
かくいう僕も関係人口絡みの活動をしているわけだけど、軸足は移動生活や多拠点居住の方にあって、年に1〜2ヶ月くらい滞在する地域に関しては、移住人口でも観光人口でもなく関係人口というくくりに入るんだろうなと思っている。目的というより、結果あるいは手段としての関係人口。
— 木津 歩|居候男子 (@ayumukizu) 2018年12月27日
僕が兵庫県香美町と結んでいる『関係人口契約』は、その過程にあるということもできます。
参照:兵庫県香美町の関係人口になりました。契約によって関係人口であることを示すという試み。
移動生活者を媒介に複数の地域が手を取り合う未来
仮に移動生活者が市民権を得て、その層を「関係人口」と表現することになったとする。
その先にあるのは、複数の地域が互いに手を取り合う未来です。
地域ごと別々に盛り上がるのではなく、地域どうしが互いに関心を持ち合い、一緒になって盛り上がっていく未来。
その時に僕ら移動生活者が担う役割は、地域間で親近感を運ぶことです。
一つの地域を離れたあと、遠方から別の地域での暮らしを発信する。
あるいはその地域に滞在している時、別の地域での暮らしの話をする。
岡山のコミュニティスペース『晴れ間』で、「十和田ってどんなところ?」って話してる。#居候男子岡山 #勝手に十和田暮らし pic.twitter.com/sllCxVUYyZ
— 木津 歩|居候男子 (@ayumukizu) 2018年12月16日
一度滞在した地域に繰り返し足を運ぶことで、地域間の交流が密になるということは、かなりあり得る話であると僕は思っています。
終わりに
以上です。
また来てね!
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・兵庫県香美町の関係人口になりました。契約によって関係人口であることを示すという試み。
・関係人口のハブになる–書籍『関係人口をつくる』の概要と感想
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